人を信用しないを言葉にして敵をつくるな

本書は『信じない』をテーマに執筆している。ここまで読んでいる、あなたなら、この言葉の背景は理解しているだろう。なので『他者を信じるな!』と言っても、そこまで違和感は、抱かなくなっているはずだ。しかし、これを唐突に、他人に言っても、その真意は、正しく伝わらないことがほとんどだ。相手が素直に、話を聞いてくれても、信じるという言葉が纏っている、美しさの力なのか、荒んだ人であったり、寂しい人だと判断されてしまう。

何度も伝えているが、他者を信じるということは、利己的なもので、こちらの期待感を相手に同意をもらうことなく、押し付けているだけだ。ここを理解している読者であれば、もう他者は信じないと考えているだろう。ただ、それは、わざわざ言葉にせずとも、あなたの心の中に閉まっておけばいい。そんなことは分かっていると思うが、一応伝えておく。

例えば、あなたが部下に「君が期待に応えてくれるとは限らないけど、この仕事を任せるよ」と言えば、部下のモチベーションは下がるだろうし、あなたが嫌われる可能性もある。この言葉の裏には「成功してほしいけど、失敗する可能性もある。だから、プレッシャーを与えないために」などの部下に対する配慮があるのかもしれない。

しかし、このような発言は、あまりに冷静過ぎて、お互いの関係を悪くするだけだ。そもそも多くの人は、信じることは、素晴らしいことだと思っているし、信頼されることも、素晴らしいことで、価値のあることだと思っている。なので、本人が配慮しているつもりであっても、相手にとっては、嫌味に聞こえる場合もある。

このことからも分かるように『信じてる、信じていない』という言葉は、そもそも口に出すものではない。本書を読んでいる、あなたは他者を信じなくていいが、相手にそれが伝わるような発言は避けなければいけない。

信じているという言葉に限らず、自分が思っていることを、何でも口に出していれば、時に、空気を濁してしまうことは簡単に想像できるだろう。あなたの思考は、あなたのもので、他人が、あなたの思考と同じとは限らないし、説明しても共感してくれない可能性も高い。

あなたが本書を読んで、他者を信じることをやめても、家族にも、友人にも、パートナーにも、言わなくていい。あなたの心にとどめておくだけでいい。私は、こうやって電子書籍として『他者を信じるな』と書いているわけだが、私のことを寂しい奴だと判断して、途中で本書を読むのをやめた人もいるはずだ。

信じるという言葉だけで、美しいとものだと思われてしまう現代社会で、私のような主張をしていれば、変人扱いされるだけだ。あなたは、こんなことは言わずとも、分かっていると思うが、人間は知ったことを口にしたくなる生き物なので、一応伝えておく。

『我慢と忍耐を魔法の言葉に変える』『信じない勇気』などの著者。コンテンツ プロデューサーとして、小さな経営の仕組みをつくる仕事をしています。年商1億規模、メルマガ読者累計4000名超え、500人を超える個人、経営者に仕組み創出コンテンツ制作、マーケティングなどを指導して現在も実力者を多数輩出。また教育事業、輸入事業、リサイクル事業の経営者でもある。

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