終身雇用の崩壊で日本を批判する人たち

2018年『10年で激変する!「公務員の未来」予想図』という書籍が、学陽書房から出版されており、著者である小紫雅史氏は「公務員の終身雇用は確実に崩壊する」ということを書いている。公務員といっても、国家公務員、地方公務員がいて、その中には特別職、一般職と様々ではあるが、衝撃的な内容だと感じた人もいるだろう。

また、2019年5月13日には、トヨタ自動車の豊田章男社長による、終身雇用に関する発言も話題ともなった。日本自動車工業会の記者会見で「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と述べた。

この豊田社長の終身雇用の発言が話題になったのは、国民の多くが、終身雇用で身分を約束されたものだと、信じていたからだ。その終身雇用が崩壊する可能性があるというのは、終身雇用を信じていた国民にとっては大惨事である。終身雇用を信じていたのに、裏切られたと嘆いている人は、ネットにも大勢いる。

この終身雇用は、豊田社長の発言がメディアに取り上げられる、数年以上前から終焉を迎えつつある制度だったので「今更、何を言っているんだ?」と感じた読者も多いだろう。その反面、終身雇用制度の崩壊という内容に、驚愕した人が大勢いるのも事実だ。この終身雇用の崩壊は、それほど時代の大きな変化ということだ。

終身雇用制度が崩壊すると言われている理由として、小紫氏は財政、AIやICT(情報通信技術)の普及、外部委託増加、そして、社会変化やニーズの高度化・多様化などをあげている。豊田社長は「世の中が日々変わる中、全ての変化に神経を研ぎ澄ませる必要がある」とも語っている。

どちらの理由も、現代社会の需要と供給の、バランスを整えるめの改善策であるが、悲観的に受け止めている人が多い。終身雇用の崩壊は、確定したわけではないが、終身雇用を信じていた人にとっては、受け入れがたいニュースとなった。実際、数年後に、終身雇用が制度が廃止されているかは分からない。公務員の終身雇用の崩壊となれば尚更である。ただ、その可能性は十分あるし、それが現代社会の流れということだ。

この事実に対して、裏切られたと悲観的になっている人は大勢いるが、その人たちには、どのような未来が待っているのだろうか? その人たちは、また、新しい何かを信じて、何かに頼るのか? その結果、また期待に反する結果が返ってきたら、信じることによる、負の連鎖が起こらないのか?

このように、何かを信じて、その数年後に、期待に反する結果が返ってくる。その度に裏切られたと嘆いて、また新しい何かを信じるという人生は、疲れないか? その人生は、他者に振り回れた人生と表現もすることもできる。不変のものは、基本的に存在しない。時代の流れとともに、すべてが変化する。それだったら、何も信じない人生を、歩んだほうが楽に生きられるのではないだろうか?

『我慢と忍耐を魔法の言葉に変える』『信じない勇気』などの著者。コンテンツ プロデューサーとして、小さな経営の仕組みをつくる仕事をしています。年商1億規模、メルマガ読者累計4000名超え、500人を超える個人、経営者に仕組み創出コンテンツ制作、マーケティングなどを指導して現在も実力者を多数輩出。また教育事業、輸入事業、リサイクル事業の経営者でもある。

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