夢を叶える潜在意識改革の落とし穴を解決

誰でも夢は叶えたいもの。最近、潜在意識の改革で夢を叶える法則を知る!みたいな情報がある。私は疑問が沸き起こった。

私は学生の時に心理学を学んでいて、それが面白くて専門書を読み漁り、哲学とかまで飛び火していた。その疑問臭は、サルトルの『存在と無』の中に続いていたからだ。この量子学的夢を叶える法則を分かりやすくまとめ、結局どうすればいいかを私見的に書いていきたいと思う。

【—このページの目次—】
1.潜在意識を変えれば夢を叶えられるのか?
2.潜在意識の改革は成功するか?
3.潜在意識は未来を変えられる?結局は自分次第

潜在意識を変えれば夢を叶えられるのか?

巷で量子学で判明、潜在意識を変えれば夢が叶うなどと言われている。量子学っていうのは、簡単に言えば、物質を作っている量子の単位がどう動くかというのエネルギー論。

人間は光を見てもそれは光の一部分でしかない。人が見えているのは可視光域にある約400nm(ナノメートル)から700nmという波長範囲だけなのだ。その波長も一定ではないし、ガンマ線、X線なんかは人では捕らえられない。光のような量子がどういったルールで働くか、それを調べるのが量子学だ。

この量子は意識されない場合に物理法則よりもはるかに多い答えを出す。それを利用した量子コンピュータはすでに開発され、Nasaなどがすでに使用をしている。

なぜそれが夢を叶えるかというと、人を作ってる量子に働きかければ、成功へ導けるという理論だ。要は、夢を叶えられない人は、夢を叶えられると意識しているからいけないんだよ。無意識だったら可能性は無限大なのだから、無意識つまり潜在意識で夢を叶えると思わせましょうといってるのだ。

確かにね、A・Kプラディープ博士も脳の情報処理は95%が潜在意識で処理されていると言っているし、シュルドレイクの形態形成場では、過去の記憶という情報から今の存在の形態が決まると言ってる。

エリクソンの発達理論では、幼児期の自律性が芽生える時期、養育者との相互関係が未熟であれば、後になってアイデンティティをめぐる症状として出てくるとか考えれば「だよね」と言いたくなるのだ。

潜在意識の改革は成功するか?

その肝心の潜在意識の改革はどうやるのか?成功するのか?

それに成功した人の例と言われているのがスティーブ・ジョブズで、まあ簡単に言えばポジティブシンキングをすることで可能に変えてきたのだと。

確かに行動の動機になるのは認知だ。

深く言えば、アイジェンが計画的行動理論として言った統制の認知があればできる。これは、例えばタバコを体に悪いから辞めたいと本人が思っているのに、できないという人がいるように認知だけではなく、それを統制する力がいるということ。

統制された認知が行動に働きかけるというもの。だから、できると疑わない潜在意識があればいいということになる。じゃあ潜在意識を変えるにはと紹介されているのは潜在意識の書き換えだ。

そうすると過去の失敗を思い出して能力が発揮できないとか、今までに作っていた壁も取っ払えるという。これは精神医学界では適用される方法でもある。

精神的な障害がある時に役立てられてますね。ここで?となるよね。精神学に長けた人がその管理の元で行ってるのがこの方法。潜在意識の書き換えは自己暗示と同じで、誰も管理する人もいなければ、やっている人は素人なのね。

やってる人が10レベルのネガティブで、その人が素人判断で8の刷り込みができたとする。そうすると足りなかった2のネガティブを埋められない。2でもネガティブが残っていれば、この潜在意識改革理論は失敗なのです。

これは素人が管理できないという面からだけど、心理学者のウェグナーだってシロクマのリバウンド効果を立証しているしね。

もし潜在意識を改革するというのなら、せめてアイデンティティの形成段階まで戻れよ、楽してんじゃないよと言いたくなるのは私だけでしょうか。

潜在意識は未来を変えられる?結局は自分次第

潜在意識を改革すれば夢が叶うとは一概には言えない。そこに必要なのは、潜在意識の書き換えではなくて、潜在意識に導かれる道に、運転者としてあなたが加わること。

潜在意識の改革がうまくいかない理由は他にもある。地球には、人間とか動物とか自然とか、いろんな生態が一緒に生きていて、すべて影響を受け合っているからだ。ポジティブ思考に取り組んでる最中、目の前に不幸が重なれば、それを続けられる精神があるかい?

潜在意識を変えることは悟りでも開かないと無理。

悟りを開いたクリシュナムルティだって、悟りを開いてもすべてが一つの空間の中にせめぎ合ってるだけと言ってるじゃないか。傍観者にならずに、俗世に住まなきゃ夢は叶えられないのですよ。量子学でも、量子の動きが全て明らかになってるわけでもないしね。

人は人間社会があるから、自分の中以外に制約は出てくる。その上でも夢を叶えるには、失敗した時に諦めない心だよね。夢を叶えるための実践的な方法は何通りもあるよ、けど何をやっても言えることは失敗は誰でもするということ。だから、失敗に対するポジティブ思考がとても大事。

だからと言っても潜在意識的なネガティブな思考が全部悪いわけじゃない。そのネガティブ思考はこれから進む道の危機回避能力でもあるのだからね。だから上書きしたら同じ失敗を繰り返すことになるのだ。

ただし、それが本当に起こるのかどうか論理的に考えることが必要ね。結局、潜在意識とか一部分だけ全体のように捉えてしまうのはむしろ害。振込詐欺にかかるのと同じ。

ここにも論理的思考を持つことは大事なのよ。

失敗からネガティブになっているのなら、その認知をしなければ行動には移せない。受け入れたた後にどうするかを考えることが活かすこと。いろんな方法を試すことはいい事だけど自分の思考を抜いては始まってないのよ。

さいごに・・・

人の欲求はどこまでも尽きないものだなとつくづく思う。だから人らしけど。ただ、その欲の対象が無機質なものに向かえば向かうほど、寂しい思いをする。そしてこれは情報による肥大化が現代に生み出した問題点として今後問題視されることになるだろう。次から次まで無機質なものが並ぶのは先進国の定めかもしれない。

YOSHIKA YAMASAKI

マルチクリエイターとして活動。幼い頃から表現の世界に足を踏み入れ、それは、写真、絵画、詩をまたぎ、人間の深層心理までをも引きずり込んだ表現意欲を探り続ける旅となる。地図を持たない自由な旅を国内外問わず続け、人の多様性を学び、自然を学び、自らの表現の糧とする。自由奔放な発想で、大手外資系企業との経歴も抱えながらも、現在は表現者として、人と人の関係、ひいては、人と自然の関係を探る旅を再開している。

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