どの扉をあけるのかを知る

前項では、結果を得るためプロセスを伝えたが、結果を得るためには、プロセスを理解するだけではなく、あなたが、どの扉を開けるのか?ということを明確にしておかなければいけない。どの扉を開けるのか、分からなければ、扉を開ける鍵を見つけることは、できない。

そんなことは、当たり前だと思っている読者も多いと思うが、どの扉を開けるのか、明確になっていない人は、世の中に大勢いるどころか、世の中に溢れている。

最近の起業ブームで、私も相談を受ける事が多いが、社会起業家を目指す人が多い。社会起業家とは、社会課題を解決することを、目的としている。要するに、社会貢献を事業とする起業家のことだ。

しかし、社会起業家という目的を、堂々と掲げていても、何をどうやって、事業に繋げるのか考えていない。考えていても、抽象的すぎて、行動に落とし込めるものではないことが多い。

彼らは、漠然と未来の扉を、頭に描けても、その扉が、どんな扉なのか明確になっていない。だから、その扉に、鍵がかかっていることさえ気付かないし、その鍵穴が、どんな形なのかも知る事もできない。つまり、本人は、社会貢献と響きのいい言葉で、理念を掲げているつもりでも、それは理念でもなければ、その目的は、果たせないということだ。

私はどれだけ抽象的な目的であっても、目的を持つことは素晴らしいことだと考えている。しかし、目的を明確にしなければ、彼らと同じで、目的を果たすことはできなくなる。

社会貢献をしたいのであれば、どんな事業なのか?事業の成功とは何なのか?どのように社会貢献できるのか?ということくらいは、最低限、明確にしておかなければいけない。そうすることで、未来の扉が、どんなものなのか、おおよその見当が付くし、大まかな努力の道筋も見える。

社会起業家であれば、マザーハウスを設立した山口氏は、事業を通して、貧困問題に貢献し、成功を収めている。このマザーハウスは、バングラデシュのジュートをフェアトレードで買い取り、アパレル販売をしている会社だ。

山口氏は、ビジネスを通じてこそ、社会に持続可能で、大きな変化を起こせると気付き、それまでに、模索していた貧困問題の解決にのため、起業した。そして、成功を収めている。

先に挙げた、社会貢献という目的だけを、定めている社会起業家と、山口氏の違いは、目的を明確にしているところだ。

山口氏は、貧困問題の解決という目的を定めるだけではなく、社会貢献をするには、事業経営もする必要があること。そのためには、どうしたらいいのか?何が社会貢献に繋がり、何が事業経営に繋がるのか?と、目的を明確にしている。だから、社会貢献と事業経営を両立する事ができている。

ただ、目的を掲げるだけでは、起業はできても、継続することはできない。社会貢献の前に埋もれてしまうのが関の山だ。あなたが、起業を考えているのであれば、鍵探しをする前に、自己分析をして、どんな未来の扉を開きたいのか、ゆっくり考えてみてほしい。そして、あなたが起業を考えていなくとも、自己分析は絶対に欠かせない。

目的が具体的であれば、目的にあった道筋を通って、鍵探しができる。目的を明確にすること。つまり、あなたは、どのような未来の扉を開きたいのか?ということを明確にすることで、あなたは、着実に未来の扉へと近付いていく。

『我慢と忍耐を魔法の言葉に変える』『信じない勇気』などの著者。コンテンツ プロデューサーとして、小さな経営の仕組みをつくる仕事をしています。年商1億規模、メルマガ読者累計4000名超え、500人を超える個人、経営者に仕組み創出コンテンツ制作、マーケティングなどを指導して現在も実力者を多数輩出。また教育事業、輸入事業、リサイクル事業の経営者でもある。

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